2019年5月1日水曜日

由布院の百年・編集サロン 概要

  2016年4月16日午前1時過ぎ、14日の熊本地震に続き、由布院でも震度6弱の地震があり、中谷健太郎氏自宅「庄屋」も大きく損壊。その日はちょうど柄本明氏の一人芝居が上演される予定でした。「庄屋」その他には膨大な蔵書とともに、50年の町づくり資料が保管されていました。  由布院では1975年4月にも大規模な地震が発生。このとき、再起を計るため音楽祭や映画祭を立ち上げ、辻馬車の運行を始めたことは広く知られています。その後の紆余曲折の地域の取り組みは民間主導であったため、その資料のほとんどが、中谷氏のもとにあるのです。


それらが今回の地震の後の混乱で積み上げられたものと一緒になって、手のつけられない状況になっていました。写真・録音テープ・八ミリビデオ・DVD・書籍・雑誌・書簡・原稿・膨大なファイル・メモなど。それらをまず一箇所にまとめる作業にとりかかったのが2018年の春。


半壊した庄屋は2017年春には建築家坂茂さんの設計と多くの方々のご支援で再生されました。


二階にあった次郎・三郎・五郎の各部屋がなくなり、吹き抜けの状態に。二階部分は回廊式の書架になり、一部に床が張られました。現在は吹き抜けと床部分が半分づつに落ち着いています。そこが資料整理事務の中心です。

    

一階は以前同様に田の字型に分かれていて、スクリーンがある映像鑑賞コーナーと音楽鑑賞コーナー、そして円卓が置かれた談話コーナーと入り口すぐのお茶サービスコーナーです。  


ひとまず蔵書はおおまかに分類して、二階書架に収め、資料は裏の倉庫に収納しました。これから資料の内容を分類整理していくのですが、分野は実に多岐にわたります。自然や環境・米軍演習問題・開発問題・音楽・映画・建築・人材育成・観光・催事・旅・歴史・生活・農業・ものつくりなどなど。 


それらをただ、保管して守っただけでは埃をかぶってしまう。そのつど関係者に詳しくお話をうかがったり、補足したり、今に続くことがらについては、「現在のこと」として若手の方々とディスカッションもしてゆきたい。そこがこの編集サロンの目的でもあります。 


編集サロンは過去と今、未来を通して考える 「円卓の場」。かつて悩みながら問題に対峙してきたこと、または楽しみながら面白い活動をやってきたことを記録や写真や映像を観ながら振り返り、新たなことを発見し、創造してゆく。わくわくの「場」となるのが目標です。


「由布院の百年・編集サロン 通信vol.1 古い記録を、新しい記憶へ 2019.5」より