2020年5月31日日曜日

資料整理・アーカイヴと庄屋サロンの状況 

◇ 2019年4月に立ち上げたが、実質動き出したのは6月、専任のスタッフがいない中で、時間を細切れに使いながら、慣れない作業を続けた。整理をしている場所「庄屋サロン」は来客も多い。来客との話によって引き出されてゆく記憶の数々が充分に拾いきれていないことに、気がつきつつも時間は過ぎてゆく。「録音するのを忘れた」ということがいかに多かったか。録音はできてもテープ起しができない。動画も撮り損ねている。


◇ 「水曜朗読会」なるものを始めた。中谷健太郎さんが資料や著書の朗読をする。その後で資料映像を観ようというものだ。この日時設定が難しい。若手中堅の方々にぜひ参加して欲しいのだが、由布院は観光業の人も多いため、土曜日曜は忙しい。では平日の夜はといっても、朗読する側が若くはないので体力が心配だ。かくて水曜の昼間に開いた会は、すでに町づくりに敏腕をふるってきた方々ばかりになった。では、まずは若手にお手伝いをお願いし、その後、鶏鍋をつつきながら話をしたらどうか。鶏鍋は夜になるから、一杯飲みながら…後で記録を確認しても何やらつかみどころがない。

 後に、コロナウイルスが現れてからは、このような時間がいかに貴重だったかを思い知らされることになった。今は、大勢で鶏鍋を囲むことが困難である。 


◇ はがきでの案内作戦。「ご都合の良い時間にどうぞ」「今週は○○の内容で」等、SNSではなくて手書きの葉書を出す。「今週はちょっとうかがえませんが…また次回に」とメールでお返事をいただく。


◇ そんな中、一般社団法人由布市まちづくり観光局の業務委託で公益財団法人日本交通公社の研究員の方々(福永香織氏と小坂典子氏)が観光アーカイブ支援においで下さった。当編集サロンの関連では、観光関連書籍のリストづくり、関連ファイルの内容リストに取り掛かり、12月末には第1回目の「溝口薫平×中谷健太郎 対談」を庄屋サロンで実施。テーマは「日観連と由布院の町づくり」。サロンの丸テーブルを囲んで、由布院の「日観連連絡会」の自由独自な特徴がどんどん話された。


◇ 第2回は2月初旬。まだ、新型コロナが身近にはなっていなかったので、このときも多くの方が集まった。テーマは「由布院の町づくりのベースになったヨーロッパ視察」50年も前のことだから、だんだん記憶が薄れているといいながらも、無いと思っていた写真が見つかったり、当時の町長が訪問先の大使館宛に送った「業務調査委託書」が保管されていたり、現地から留守家族宛に送った葉書もあり、物語の域に入っていた旅の話がリアルに迫ってきた。まさに「古い記録を、新しい記憶へ」と更新した。


◇  そして図らずも2月下旬の由布院にドイツのバーデンヴァイラーから、元市長のBauert氏の知人のWilheim Spaeth氏と案内役の櫻木正治氏が訪ねてくださるとは、偶然ではないのではないか。このときお二人は、ぎりぎりのタイミングでコロナ感染予防の規制に遭わずにドイツの村に帰宅。



  このようなことがあるので、記録はつねに新しい記憶になっていく。  

(事務局) 

「由布院の百年・編集サロン 通信vol.3 古い記録を、新しい記憶へ 2020.6」より